2015年2月2日月曜日

インド人はうそつきか?

我が住まい、ニムラナには、通称「ニムラナ銀座」なる目抜き通りがある。
我々はそれを「ニム銀」などと称して愛でていたわけであるが、
そこには銀座の名にふさわしく、にぎにぎしく各種の露店が軒を連ねている。

八百屋、仕立て屋、お菓子屋、総菜屋、服屋、金物屋、電気屋、自転車屋…

とくに八百屋は数が多い。
今回は、その中でも私が懇意にしていた八百屋、
通称「正直者ジョンの店」の話である。

彼の店舗は、ニム銀の入り口から3分ほど歩いた場所にあった。
それまで私はいくつかの店で野菜を購入していたが、
ある出来事があって以降、ジョンの店でしか野菜を買わなくなった。

彼は、いつも店の奥の小高い場所に王様のように胡坐をかいて客をさばいている。
日本人の私がひょこひょこと買い物に行くと、陽気に声をかけてくれる。
質問にもめんどくさがらず答えてくれる。

「イェ キャヘェ?(これ何?)」「Lady Finger、Sir!(オクラだよ旦那!)」

ってな具合に。
あるとき私は、彼の言った金額が聞き取れず、適当に少し多めのお金を渡した。
渡した後に「しまった」と思った。
なぜなら、インド人は、「金持ち外人をだまして金をちょろまかしてやろう根性」のやつが多いのだ。

こいつも陽気なふりして同類だろう、そう私は思って半ばあきらめた。

しかし彼は違った。
ゆっくりと首を振り、「旦那、多すぎるよ」とばかりに金額をゆっくりと言い直し、
そしてちゃんとお釣りを返してくれた。
(金額は、私の経験から言っても納得のいくものだった)

私は、心の底から彼に謝りたかったが、謝る言葉を知らない。
ひたすら恐縮し「アッチャー、ダンニャワード(そうだね、ありがとう)」と言うのみであった。

彼はいつものように、おまけをどっさりつけて、野菜を渡してくれた。
これ以降、私は贖罪もかねて、彼の店をひいきにすることにしたのだった。

ちなみにいつもつけてくれるおまけだが、使い方がよくわからずいつも余らせてしまう。
・ダハンニャ(英:コリアンダー、泰:パクチー、中:シャンツァイ)
・グリーンペッパー
・たまにレモン

あと、じゃがいもとかたまねぎは「そんなにくえねーよ!」っていうくらい入れてくる。
天秤で量り売りだから、少量は売りにくいということも関係しているだろう。
(だいたいキロ20ルピー=30円くらいかな。果物はもう少し高い)

とにかく、素敵なジョンでした。
もう一度会いたいけれど、かなわぬ夢だろうな。切ない。

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